ファンマーケティングってどんなマーケテイング?ファンを獲得した成功事例5選

歴史的に見ても従来のマーケティングとは、企業側が一方的にブランドメッセージを発信することが第一でした。

自社の製品やサービスにお金を払う顧客のことをいまいち理解できずにマーケティングをおこなっていたともいえます。しかし、近年のスマートフォンやSNSの隆盛により、企業と消費者の距離は一気に近付きました。

これにより、ファンの声や意見は直接企業のマーケテイング担当者の耳に入るようになり、企業側が気付かなかった考え方や、新しい視点・意見のフィードバックを得られるようになりました。

それらのフィードバックが新しい商品開発に役立つことでさらなるヒット商品が生まれるといったサイクルに繋がっています。

このような好循環を生み出すのが「ファンマーケティング」であり、現在では多くの企業が「ファンマーケティング」を実施しています。

この記事では「ファンマーケティング」とは何か?といった基礎的な知識から、実際に「ファンマーケティング」を実施することで成功している企業の事例をご紹介します。

ファンマーケティングとは

ファンマーケティングは、近年よく耳にするマーケティング手法の一つ。

ブランドやサービスの「ファン」にフォーカスし、企業と消費者が密接なコミュニケーションを取り一顧客からロイヤリティの高いヘビーユーザーへと醸成させるマーケティング手法のことを指します。

ブランドやサービスの事を知らない人よりも知っている人の方が購入頻度も高く、企業にとっては中長期で見た時に安定した売上に貢献してくれるというメリットがあります。

「ファンマーケティング」が普及した要因には、インターネットやSNSの浸透が第一に挙げられます。

それまでは企業と消費者が直接的にやり取りできる機会は少なかったのですが、SNSはこれらの距離を縮めることに成功しました。

今では企業がSNSのアカウントを作成して消費者と直接的なやり取りをすることは一般的となっており、更なるロイヤリティの向上を目指してファンにブランド独自の体験を提供しています。

ファンマーケティングのメリットとは

企業が「ファンマーケティング」を実施するメリットは様々ですが、大きく分類して

○安定した売上の獲得
○ファン同士によるコミュニケーションの活発化
○口コミやレビューによる新規顧客の獲得
○ファンによるフィードバック

上記4つのメリットがあります。

安定した売上の獲得

熱烈なファンを企業やブランドが獲得するメリットの一つには、安定した売上の確保という側面があります。

芸能人やタレントのファンであれば、「応援している人」というイメージですが、ブランドや商品のファンということは「顧客」なのです。

さらに、ファンであれば購入のタイミングは単発ではなく、定期的に購入する「リピーター」でもあるのです。

「リピーター」の存在は企業にとって非常にありがたく、さらにロイヤリティの高いファンであれば年間の購入金額は高額になり、企業の売上にとって大きな影響を与えます。

ファン同士によるコミュニケーションの活発化

熱心なファンがもたらす2つ目のメリットは、他の人が抱くビジネスに関する質問に彼らが答えてくれることです。

企業が消費者からの問い合わせに対応するのは当たり前なのですが、実際にブランドやサービスを体験した人からの意見は、質問した人からすると信頼性が高いのです。

ブランドやサービスに少しでも興味を持った人が、すでにファンになっている人のSNSなどで直接コミュニケーションを取って疑問を解消していく。そうすることで新規の顧客やファンが育っていくサイクルが生まれて、企業には好循環をもたらします。

口コミやレビューによる新規顧客の獲得

2つ目のメリットに関連して、ファンによる口コミやレビューが新規顧客を開拓するのに効果的というメリットもあります。

ブランドの熱心なファンは、そのブランドやサービスを利用した体験を自身のSNSや口コミサイトで発信したくなるものです。

5つ星の評価や肯定的なレビューが常に寄せられているブランドを多くの消費者は信頼する傾向にあります。

実際に製品やサービスを使用する前に、ファンの口コミを読むことで判断することができるのは消費者からすると損を回避できるメリットになります。

好意的なレビューをもとに商品やサービスを体験して、実際に良かったと思えばその人達も新しいファンになっていくでしょう。

ファンによるフィードバック

熱心なファンは常に商品やサービスのフィードバックをしてくれます。口コミサイトへの投稿もSNSでの発信もフィードバックの一つ。

これらのフィードバックには、企業側では気付けない意見が多いこともあります。

ファンの意見は、それこそがニーズでもあるので、企業は新しい商品やサービス開発のためのアイデアや着想を獲得し、ビジネスに展開できるのです。

ファンマーケティングの成功事例5選

ここからは、実際の企業が実施してきた「ファンマーケティング」の成功例を紹介します。

1.Burberry

Burberryは1856年に設立されたイギリスのアパレル企業です。アメリカの実業家でもあるアンジェラ・アーレンツが2006年にCEOに就任し、同社の老朽化したブランドを一新することを目標に、UGC(User Generated Contents=ユーザー生成コンテンツ) 戦略を開始しました。

同社は2009年に、ユーザーがBurberry製品を身に着けている写真をアップロードしてコメントできるサイトを立ち上げました。Burberryのファンであり、ファッションに関心のあるユーザーがこぞって画像を投稿。

ユーザー参加型のプロモーションとして展開しました。結果、Burberry のe コマースの売り上げは、サイトの立ち上げ後、前年比で150%まで伸張。

ファン心理をくすぐることでブランドの売上を向上させた成功例です。

2. スターバックス

UGCの成功事例として、スターバックスのホワイトカップコンテストがあります。

これは、2014年4月に実施されたキャンペーンで、全国のスターバックスのカップに落書きをして、写真を応募作品として提出する内容です。

優勝作品は、新しいスターバックスの限定カップのテンプレートとなることが約束されていて、3週間で4,000人近くの顧客のエントリーが集まりました。

こちらもスターバックスというブランドを愛するファンの気持ちを上手く使った好事例です。

3. ハイネケン

オランダのビール、ハイネケンは、消費者の多くは新しいフレーバーの生ビールを求めていると感じていました。

そのニーズに対応するため、過去150年間に渡り生産してきたビールを再定義することを決定。顧客からの意見を取り入れて新しいビールを作ることを打ち出したのです。

2012年に展開されたハイネケンのキャンペーンでは、ハイネケンのファンが、動画、画像、アイデアを共有して体験を変える機会を提供。ファンはこのキャンペーンを好意的に受け止め、数多くのアイデアをメーカーに提出し、ハイネケンが製品を改善する材料としました。また同時にこのキャンペーンはブランドへの関心を高めるのにも効果的でした。

4.ブラックサンダー

ここからは日本企業による事例を挙げていきましょう。

有楽製菓が販売している、チョコレート菓子ブラックサンダーも根強いファンを持つブランドです。

2021年より「黒い広報室」と銘打ってのファンマーケティングを開始。コロナ禍だったこともあり実際に人を集めてのファンミーティングが出来なかったことを逆手に取り、オンライン上のファンミーティングを開催しました。

このオンラインでのファンミーティングは定期的に開催されており、ミーティングに参加したファンの購買意欲は向上。ミーティング実施前と後では購入頻度も変化しているそうです。

ファンのロイヤリティを向上させ、パートナーへと昇格していくのに効果的な施策といえます。

5.よなよなエール

熱狂的なファンを持つことでおなじみのビールメーカー、ヤッホーブルーイングでも「ファンマーケティング」を活発的に実施しています。

ヤッホーブルーイングは1997年に創業されましたが、創業直後は経営が安定せず倒産寸前の状態にまで追い込まれたときもありました。そんな状況で支えてくれたのが熱狂的なファンだったという背景から、同社ではファンに還元する姿勢をずっと貫き通しています。

それが形になったのが、同社の商品を実際に飲んで楽しむイベント「超宴」の開催。

その他にも熱狂的なファンと一緒に醸造所を見学したりすることで、企業とファンが価値観を共有し合い、ブランドだけではなくヤッホーブルーイングという会社のファンになってくれることを狙っているそうです。

まとめ

今回は「ファンマーケティング」とは何か?といった基礎的な知識から、海外、国内の企業による「ファンマーケティング」の成功事例を紹介しました。

ファンマーケティングの背景には「80:20の法則」とも呼ばれる「パレートの法則」という経験則が働いています。全部がそうというわけではありませんが、小売り業であれば「売上の8割は、顧客の中の熱心なファン2割」によって作られているといった考え方です。

スマートフォンやSNSが広く普及した現代では、熱心なファンの獲得がビジネスの成否に大きく影響します。

今後のマーケティング施策として「ファンマーケティング」を採用してみてはいかがでしょうか。

Follow me!

コメントを残す

メールアドレスが公開されることはありません。 が付いている欄は必須項目です